東京百景２「調布市入間町」

　東京百景……ALTVENRYが３０年強過ごした東京での想い出をその風景になぞらえて１００選出しようという試みである。思いついた順番に数字が割り当てられているが、１００アップできた時に時系列に並び替えて、作品としてお披露目しようと目論んでいる。

　１９９１年、独身最後の砦となったアルカディアという名前のワンルームマンション……この３０１号室に最初に住んだのは私だ。というのも紹介された時はまだ建築中だったのだ。確か小田急沿線の不動産屋だったが、その日のうちに建築現場を見に行った。外観はほぼ出来ていて、１ヶ月ほど経った秋に引っ越したと思う。

　この年３０歳の大台に乗ってしまい、８年近く住んだ杉並区を離れようとしていた。その頃某眼鏡店勤務５年目の私の所属店は吉祥寺だったが、店長代行が出来る程度にはキャリアを積んできていて、府中とか調布の支店に店長代行として通うこともあった。だから京王線沿線がなんとなくお気に入りになっていた。また小田急沿線も上京して最初に利用していたから格別な思いがあった。この物件、京王線仙川駅とか小田急成城学園駅のほぼ中間に位置していて、良くいえば両方の駅を利用できる訳だが、どちらも徒歩２０分は要してしまうのだった。もちろん両駅ともバスを使う。

　さて初めてのマンションだ、アパートではない！エアコン付き新築ワンルームだ。それもフローリング、トイレとバスは別々だし、トイレも初のウオッシュレットだった。出窓がオシャレで、それ用のロールスクリーンを渋谷の東急ハンズに見に行った。多分遮光カーテンもそこで一緒に買った気がする。組み立て式のベッドもその時だったか……記憶が薄らいでいる。

　通勤定期はバスと京王線仙川駅から明大前経由で購入していた。バスは小田急バスなので仙川も成城学園も両方使えた。実は仙川駅、バス停から遠く、なおかつ急行の類が停まらない。なので、時間に余裕がない時は、行きのみ、バスで小田急成城学園駅へ出て、下北沢で井の頭線に乗り換えて吉祥寺へ行くことがあった。準急が停まるので京王線より若干早いのだ。さらに時間がない時は、タクシーで成城学園まで出た。

　仕事帰りは余計な出費をしないよう正規のコースである仙川駅で降りた。しかしその時間バスの本数が少ないこともあり、駅近くのスーパーで食材を買って、桐朋学園の横を通って、トボトボ歩いて帰ることもあった。徒歩２０分である。途中にフォルクスとか神戸屋とかあったが、そんな贅沢をするのは休日のランチくらいだったろうか。